ストライクウィッチーズとは。

 並行調整暦1943。膨張し過ぎた共和国に渦巻く不安があった/星系間高速度通商航路、通称フォールドには安定周期が存在しない/膨張し続ける全域宇宙には同期の概念が適用できないからだ/すなわち「座標の静止」を定義できないため、各星系の外周辺宙域に自力航行の艦隊を常時展開する必要がある/しかし、外宇宙航行艦の維持はコストが高く、共和国の艦隊常時多方面展開は限界に達しつつあった/
 首都である。「ぺたんこ」の力の使い手、官房付武官ペリーヌは、坂本提督率いるエルザス・ロートリンゲン方面艦隊群の帰りを待つ/ひとつの約束があったのだ/ぺたんこの力は議会の盾/遠征艦隊には同行できない/ふくらみに兆すのはその力の終焉/ようやくペリーヌにもその時がやって来た/憧れの坂本提督と交わした外遊の約束はそのままに/しかし、高鳴る期待とは裏腹に、ペリーヌのふくらみが膨らまない/苛立ち、焦り、ついには絶望したペリーヌは、ぺたんこの暗黒面に取り込まれてしまう/自らもぺたんこの使い手である有司専制の先鋒サーニャ通信相はぺたんこの力による共和国領域の統一共時平面化、「ぺたんこの秩序」を囁く/折しもバイエルン宙域で未知の外敵ネウロイと接触した共和国艦隊は、その未知のリンク式(並列次元に亘って重力子の挙動をほぼ完全に解析していると推測される)の前に各方面で孤立/既に伸びきった兵站を奪われ通商航路も寸断されてしまう/議会に対し、サーニャ通信相はネウロイによる被害を実際より過大に報告/内部告発によりマスコミがこれを報道/サーニャ通信相は「国民の負担を軽視」とマスコミ、議会の双方に連日叩かれることとなる(一部の歴史家はこれを通信相の自作自演と記している)/時を同じくして共和国議会は戦時国債発行法案を否決、翌日には艦隊運営委員会が非常時艦隊運営特別措置法案の本会議提出を見送った/これが共和国全域を戦場にした/湧き上がる責任論争の前に紛糾するばかりの議会は、与野党を問わず、ネウロイ戦の被害に苦しむ国民の前に統治能の信頼を失った/ここにおいて事態を収拾し得ない議会の無能をサーニャ通信相は公然と国民に糾弾/その私兵に堕ち闇でぺたんこを振るうペリーヌ/一方で反有司専制派の重鎮ビショップ家はあくまで議会制の護持を掲げる/そのビショップ家ゆかりのハノーヴァー星系に侵入したネウロイを、サーニャ通信相が私財を投じて募った「義兵船団」が撃退/国民の狂信的支持を獲得したサーニャ通信相は/これを奇貨として私設艦隊に駐留を指令し、政敵の支持母体を粛清/共和国全域の群衆に議会への大規模行進を指示した/この事態に共和国議会は沈黙/ぺたんこの使い手は大半、サーニャの私兵となっていたのだ/サーニャ通信相は「国民会議」の名で共和国議会を弾劾、全ての政党を解散させ、全共和国議員の身分を剥奪した/そして総帥として自らに共和国権限の全てを集約する全権委任法を成立させる/ペリーヌは「第三帝国」のクロステルマン護国卿となりぺたんこの秩序の中枢に迎えられることとなった/

 かつての弟子が暗黒面に堕ちたことを知るぺたんこマスター、ルッキーニは、辺境に浮かぶ砂の惑星で、ぺたんこの力を持つ若者芳佳に思いを託し、反帝国派の希望リーネ・ビショップ、運び屋シャーリー、水銀式通訳アンドロイド・ミーナとともにフォールドリンク航路「ジークフリード・ライン」へと送り出すのであった/

 かつての反帝国派は連邦と名を換え/最後の連邦艦隊群を編成し坂本・バルクホルン両提督にこれを授けた/参謀部ハルトマン准将の提案によって、星系外に漂う廃棄移民艦の質量を擬似アンカーに、星系間座標を擬似静止化した連邦艦隊群は、奇跡的にアルデンヌジャンプを成功させ続々とディナン回廊に集結しつつあったが/そこで彼らが見たものは完成間近の宙域跳躍砲巨大要塞「セバストーポリ」であった/バルクホルン提督は、旗艦「ディッケン・ベルタ」以下新造艦を抽出し高速艦隊群を編成、総帥の信奉者ユーティライネン辺境伯爵の守るセバストーポリ背面への強襲を企図するがそこにサーニャ総帥の親征艦隊が到達し…

 という話ではありません

 絵とかをこのあたりに。
   みなさん 扶桑の魔女とペリーヌさん

†電撃戦について
 野砲あるいは急降下爆撃機で敵主要戦力に打撃を与えた後、装甲部隊で敵戦闘部隊と司令部を分断、最後に機械化歩兵で制圧をかける戦法です/第一次世界大戦以降、戦車が戦闘の要になることは多くの国で想定されていましたが、あくまで歩兵部隊の強化兵装としてでした/これを組織的に運用して新たな戦術に組み直したのが電撃戦です/この戦術には多数の戦車を同時に運用させるだけの潤沢な補給と、交戦状態の錯綜においても的確に情報を往来させる通信網が必要になります//

†歩兵の進撃について
 装甲部隊の進撃の後、間髪をいれず歩兵を展開し制圧をかけます/敵に態勢を立て直す暇を与えないためです/故に歩兵の進撃には装甲部隊と同等の速度が求められます/歩兵の高速化、これには輸送手段の確保および/(装甲部隊の進撃後歩兵部隊を分散させて要所のみを制圧するのですから)正確と目される事前情報と、それに基づく緻密な作戦計画を欠くことはできません//

†対電撃戦について
 装甲部隊の進攻を止める方法は幾つか考案されています/まず戦車を無力化する方法について/
 背面装甲及び機関部換気ダクト、装甲の施しようがないキャタピラ及び駆動伝達輪、車体上面、塹壕などに乗り上げて装甲の薄い底部を曝したとき/これらを対戦車火器などで狙います/噴流式のロケット弾などの場合は反応装甲で無効化される場合があります/
 或いは、戦車というものは装甲で機体を覆う反面死角が多くなります/敵性戦車に歩兵の随伴がなく、敵機銃陣地の援護射撃などの障害がない場合には、即ちテルミットを応用した吸着地雷で無力化が可能です/
 ほかにも敵性戦車の登坂能力を超える傾斜に陥れたり、キャタピラの機能しなくなる深い湿地などに追い込んで足を止めればその脅威を取り去ることができます
 また、電撃戦の端緒に装甲部隊は相手の前線の中に突出する道理です/敵急降下爆撃からいち早く体勢を立て直し敵装甲部隊の突出を先知して逆包囲することが出来れば戦線を膠着させることが出来ます/